Skip to content

ついてくる三人

※学生時代
 

急遽仕事が回ってきた。呪術師の、しかも教師として高専に常駐している人間の扱いなんてそんなもので、受け持ちの生徒たちに断ってからあきらは仕方なく補助監督の運転する車に乗り込んだ。
幸い近場だ。やりたいこともやらなくてはいけないことも山ほどあるし、さっさと済ませて帰ろう、と考えつつ用意された資料を読み込んでいるうちに、あまり経たずに現場に到着する。

元は病院だったというその大仰な建物の前に、

「…………」
「やっほー!」

見慣れた制服姿が三人ばかり、笑顔で並んで立っていた。

「……………………どういうつもりよ」
「えー、見学」
「勉強」
「興味本位」

あきらが怪訝そうに尋ねると、仲良く並んだ三人が、なんとも簡潔に順番に答えた。あきらの眉間にきゅっと皺が寄った。
そもそも何故あきらよりも先に着いているのかと思うが、聞いたっておそらく答えないだろう。適当にはぐらかすのが目に見えている。

「今日俺たち実習なくてさー」
「夜蛾先生も別任務で出張中です」
「教室で自習してろ」
「「「ヤダ」」」

声を揃えた三人を、ヤダじゃないよとあきらは怒った。拳をぎゅっと握り締め、遊びじゃないんだぞと説教じみたことを言ってみるけれど、三人はそれぞれ適当な方向を向いてやり過ごす。この年の近い教え子たちに、あきらは何故か完全に舐められている。

「夜蛾先生には許可貰いましたよ」

あきらが目を丸くして家入を見た。

「マジ?」
「マジマジ。駄目って言われても勝手について行くって言ったら、許可下りた」
「…………」
「その代わり大人しくしておけ、だそうで」

なーっとかねーっとか、三人が顔を見合わせて笑っている。どうやら今日は仲がいい日のようだ。結託しているとも言う。

「……はあ。」
「おっ諦めた?」
「うるさい。さっさと終わらせるから、本当に大人しくしてよ」

後ろで困惑気味に自分を見つめる補助監督に、帳を下ろすよう言ってから、あきらは三人の横をすり抜けた。
空から溢れた黒い闇が下りきらないうちに、中へと歩みを進める。

「あんまり離れないように」

一応注意をしておくと、はーいとふざけているようにも聞こえる返事が揃った。
遠足か何かのように楽しそうに、三人はあきらの後をついてくる。後ろで腕を組んで鼻歌を歌う五条、取り込めそうな呪いがいないか探している夏油、物珍しそうにきょろきょろと辺りを見回す家入――不安要素は盛りだくさんだ。

「危なくなったら助けてあげるよ」
「ほざけクソガキ!」

五条のふざけた言葉に律儀に青筋を立てながら、あきらは苛立ち混じりに、廃墟の扉を蹴破った。