※学生時代
「俺って怖い?」
「怖いです」
即答だった。むしろ被せ気味だったし反射みたいなものだった。あきらは正直なのだ。
怖い先輩はあきらの迷いのない返答を聞いて口の端を引きつらせた。咄嗟に身構えるあきらをよそに一度苛立ちを受け流して、五条は気を取り直して問うた。
「じゃあ『僕』なら怖くないわけ?」
「そういう問題ではないです」
「…………」
「気にするなら性格直してください」
これもまた正直に、被せ気味にきっぱり返してやると、五条の額に青筋が浮かぶ。やべっ逃げようと体を翻すも遅すぎた。
あっという間にあきらを確保し、ゲンコツでこめかみをぐりぐりと万力のように締め上げてくる。体格に見合った力にあきらは思わず悲鳴をあげた。
「痛い痛い痛い!」
「傑~~!!!」
苛立ちをぶつけるように呼ばれたのは自分の名前ではない。
また何か変な言い合いでもあったのかもしれない。それはこの際どうでもいいけれど、いい加減こうしていたいけな後輩を巻き込むのをやめていただきたい。
「なんなんですか!?夏油先輩早く来てー!!」
あきらは痛みに喚きながら、どうやら元凶らしいもう一人の先輩に助けを求めた。