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サイドテールボーイ

「やっぱり女の子の手がいいなあ」

おもむろににぎにぎとあきらの手を触りだしたと思ったら、そんなことを言う。残念そうな声色で思い浮かべているのは、ついこの間作ってもらったという悪趣味なあの刀だろう。
力の弱さを補うために、どこの誰ともわからない男の腕が、その刀には持ち手代わりにくっついている。握りしめると、気味が悪いことにぎゅっと握り返してくるらしい。

「ねえ、あきらの手、片っぽちょうだい」

にこにこと頭のねじがまとめて外れた少年は、あきらにおねだりをした。あきらは顔をしかめて「嫌」と返した。

「片方だけだよ。駄目?」
「駄目」
「ケチだあ」
「なんとでも言ってよ」

切り落とされた自分の腕が、刀の端にくっついて、動きさえするなんて考えただけで気分が悪い。でもこの子はきっと、握り返されるたびに無邪気に柔らかいと喜ぶのだろう。
ぶーぶーと不満を訴え、詰り、だだをこねられてあきらがため息をついた。

「あのねえ」
「…………」
「片手じゃ髪も結んであげられないよ」
「あ!」

本当に今の今まで気づかなかったらしく、眉尻を下げてじゃあ仕方がないねと途端に静かになった。
あきらに髪をくくってもらうのが彼の最近のお気に入りだ。そっちを捨てるのは惜しいらしい。
もう一人とは違って丸め込みやすいところがこの子のいいところだ。あきらが死んだらちょうだいね、という明るい声は聞かなかったふりをした。