※学生時代
二日目の勝負は個人戦。読み上げられたそれに、よしきたと五条はテンションを上げる。一日目は東京側の勝ちだった、二日目も勿論逃すつもりはない。
組み合わせをどうするかとの話し合いをよそに、ふとつまらなさそうにため息を吐いた教師の姿に気づき、五条は怪訝そうな顔をした。
「あきら」
「あきら先生」
「あきら」
「は〜〜はいはい何」
諦めて適当に答えるあきらはやっぱりつまらなくて仕方ないという顔をしている。自分の属する側が勝っている現状の何が不満なのか。自分の活躍にケチをつけられたような気持ちになって、五条はむっとした。
「もっと喜べば。勝ってんだから」
「ええ〜、別にどっちが勝ったって私の給料が上がるわけでもないし」
「…………」
「ほんとつまんな。毎年同じことばっかりやってさあ」
じっとりと五条が見つめる間も、あきらはこちらを見ようとしない。窓の外でひらひらと飛ぶ蝶を見つけ、それを視線で追っていた。本当に興味がなさそうだ。
「……じゃあ何ならよかったんだよ」
五条が尋ねると、あきらは頬杖をついて、そうだなあと考えた。
「野球とか?」
「はあ?」
呪術なんて欠片も関係ないものを持ち出され、五条が片眉を上げる。いいじゃん野球、とあきらが続けた。
「交流会っぽいし。怪我もしないし」
「高専でやる意味ねーだろ……」
「元々親睦目的じゃん。折角の機会だし、野球でもサッカーでもいいから人数いないとできないことすりゃいいんだよ。私が学長ならそうするね」
「…………」
腑に落ちない表情を浮かべる五条を、あきらはそこでやっと見た。「まあ」にやっと笑う。
「なったからには勝ってくれば」
「……当たり前」
やりとりは近くの京都校の生徒に聞かれていたらしい。睨まれたのでつい舌を出して挑発すると、呆れた顔のあきらが頭を小突いてきた。