呪具を外している時、真希は呪霊の存在を感知できない。形のせいで紛らわしいし、別に間違っているわけでもないのだが、見えるようにするというよりは、認識できるようにするというのが、この呪具の本来の効果なのだ。
朝が来た。
いつものようにすっきりと目覚め、寝転んだまま枕元の眼鏡を手探りで取る。それをかけることでやっと、腹の辺りに妙な膨らみがあるのに気づき、真希は被っていた布団を退けた。
「オマエ……」
ぷすぷすと寝息を立てながら、犬のような何かが三つ目を閉じて眠っている。泳いでいるのか走っているのか、パタパタと短い脚がシーツの上でもがく。
間抜けだ。楽しそうではある。
「…………」
真希はクッと笑った。首根っこを掴んでも起きる様子がない。
「後で返しに行くか」
どうせ急ぐことでもない。あきらは朝が早い方でもないし、多分まだ起きてもいないだろう。支度を済ませてからでも問題はない。
こんこんと眠る間抜けな頭をひと撫ですると、真希は笑いを零し、ベッドからそっと抜け出した。