「疲れたー!」
地下鉄の明治神宮前。
化物の形をした元人間と、これから化物になる人間とでごった返すホームの片隅で、真人が不満をぶち上げた。
その前には人間たちが怖れも見せずに列をなしている。一人、また一人、と術式で形を変えながらぶちぶち言う真人のそばに立ち、あきらが口を開いた。
「あと半分もないでしょう。頑張ってください」
「面倒くさい!あきらもやってよ」
「できませんし」
大体あきらだってサボっているわけではないし。
今にも自分の番が来そうだというのに、大人しく人々が真人の前に進み出てくるのは、あきらの術式で思考を奪っているおかげなのだ。電車を運転させるための車掌だってそうである。
いちいち手を触れないといけない真人のような面倒くささはないが、この人数を制御するのに、呪力だって相当使っている。
「なんだか内職みたいですね」
「はあ?」
ぐにぐにと粘土遊びをする子供のように形を好きに変えながら、真人は口を尖らせる。
「早く行かないと、漏瑚が泣いてるかも」
「……そういう言い方すると、また怒られますよ」
「はは」
終わったやつから電車乗り込んでってー!と真人が指示を飛ばした。着々と準備は進んでいる。今のところ予定外のこともない。
さてここからどうなるのか、とため息を吐いたあきらたちの前に、また次の人間が進み出た。