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呪霊と夏油じゃないやつ

「五条悟って、人間なんでしょう?」

他の呪霊達は出払っているらしい。彼らの巣になっているマンションの一室を訪ねると、そこには夜の星空と無限の草原が広がっている。あきらの生得領域だ。
ぽつんと一人で空を見上げながら、女の形をしたその呪霊は言った。

「そうだよ。だからそこに付け入る隙がある」

随分馴染んだ顔で微笑みかけると、あきらはふうんと頷いた。彼女が外界のことに興味を持つのは珍しい。
他の呪霊たちより古くから在るせいか、力を持ちながらも彼女はほとんど何にも心を動かさない。ふらふらと、ここに吹く風のように、流れるままに生きている。

「なら別に封印なんてしなくていいんじゃない?」
「……どうしてそう思うんだい?」
「人間はすぐ死ぬもの。殺さなくても、時さえ経てば」

見上げた夜空に星が光る。いくつか流れては消えるそれを眺めて、夏油は目を細めた。

「他にも色々、条件があるのさ。今が一番の好機で、そこに彼がたまたま存在していたというだけだ」
「ふうん。ならいいけど」

納得しているのかしていないのかわからない相づちを彼女は打った。ごろんと後ろに寝転がって、すうっと目を閉じる。自分から尋ねたにしては、何もかもがどうでもよさそうな態度だった。