話があってさ〜と、いつも通り緊張感のないいくつか上の先輩は言った。また何を言い出すのかと思って、はあ、と頷けばじゃあ外行こっか!と腕を掴まれる。
誰もいないのだしここでいいのではないか。わざわざ場所を移動する必要がどこにあるのか。と尋ねても五条は僕コーヒー飲みたくてさ、と言うだけだった。伊地知はどうやら外出中らしい。
そうしてわざわざ山を下りて、適当に入った寂れた喫茶店で、五条は注文したコーヒーにこれでもかと角砂糖をぶち込んでいる。
「……五条さん」
「ん?」
「大人しくジュースでも頼んでてくださいよ……」
すでにいくつめの角砂糖なのか数えられなくなっている。含まれている砂糖の量で言えば、そういうものが山ほど入っているコーラみたいな飲料とそう変わらないだろう。
何言ってんの、と五条が丸い目を向けた。
「コーヒー飲みたいんだって言ったでしょ」
「普通の人は、それをコーヒーとは呼びません」
溶けるにも時間がかかるほど砂糖を入れたコーヒーは、味としては台無しの部類だろう。
店の人が気にしていなければいいのだが。
悪びれた様子のない五条に溜息を吐き、それで話って何ですか、とあきらは本題を尋ねた。