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呪詛師と握力弱い人

「やっぱりさ、人間の脳みそっておいしいのかな?」

心底楽しそうな声で男が話しかけてきた。歩道橋の上から見下ろした先では、真人とかいう呪霊の作った改造人間に追われ逃げ惑う一般人達がいる。時間潰しに付き合うのもいいだろう、そう判断したあきらは、特に思うところもなく、隣でニヤニヤ笑っている呪詛師に目を向けた。

「どうしてそんなことを?」
「だってあいつら、みんな頭から行くじゃん。ガブって」
「ああ……」

確かにそうですね、と相槌を打つ。「勿体ないよねー」と軽い声が続いた。

「はい?」
「急所行ったらすぐ死んじゃうのに。俺なら手足から食べるなぁ」
「…………」
「そしたら最後まで悲鳴が聞けるよ。女の子ならなおいいねえ」

そう思わない?と聞かれて、いいえ、とあきらは答えた。少し引いて強張った体に気づいたのか、男はフフッと一層楽しそうに笑う。
同じ陣営にさえいなければこういう男は念のために殺しておきたい。今はこれも仲間なんだよなあ、と思って、あきらの気が少し沈んだ。