※学生時代
カレーが食べたくなった。
野菜と牛肉がごろごろ入った家のカレーが食べたい、と思ったあきらは、まず寮母さんに材料をわけてもらいに行った。冷蔵庫からもらったものと、自分の部屋の冷蔵庫にあった材料、あわせれば目的のものは十分出来そうだ。寝かせてこそだと思っているので、量もそれなりに作ると決める。
炊飯器にご飯をセットし、材料を切り、炒めてぐつぐつと煮る。そうしてしばらく待ち、もういいかなと思ったところでルーを入れた。カレーのいい香りが漂いはじめ、楽しくなって鼻歌を歌う。
そんな時だった。
コンコン、と強くも弱くもない力加減で、部屋のドアが叩かれる。位置的にも遠くはないし、あきらはすぐ返事をしてドアを開けた。
「やっほー」
「硝子?何しに……」
と問おうとしてぴたりと言葉を止める。硝子が胸のあたりに構える、白ご飯のこんもり盛られた皿に気づいたからである。
「……食べに来たわけね」
「隣からいい匂いするんだもん」
部屋に入り、カレーの鍋をのぞいて言った硝子に苦笑した。まあ寮の部屋でカレーなんて匂いの強いものを作れば、バレバレなのは仕方ないだろう。
多めに作っといてよかった、と思ったところで、硝子がまた口を開いた。
「後で五条と夏油も来ると思うよ」
「えー。なくなっちゃうじゃん」
「アイツら無限に食うもんね」
次はこっそり作れば、と言って硝子が笑ったちょうどその時、ゴンゴンと、部屋のドアが乱暴な調子で叩かれた。