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人生ゲーム/学生さしす

オマエ達で食べろ、と担任に渡されたおみやげのお菓子は五個入りだったので、当然残りの一個を巡って争いは起きる。主に五条とあきらの間で。

「じゃんけん」
「目がいいやつが有利じゃん」
「組手」
「論外」
「桃鉄」
「やったことない。却下」

勝負方法について話し合う二人を眺め、別に興味のない家入と夏油が目を合わせて仕方ないなという顔をした。その間にもぎゃあぎゃあと言い合いは続き、その末に結局選ばれたのは、

「……じゃあ人生ゲームで」
「異議なし」

正月に遊ぶために買った人生ゲームであった。
技巧なし、難しいルールなし、すべてが運次第のこれで決着をつけようということである。正直菓子一個にそこまでムキになる必要があるのかと思うが、意地になっているのか暇なのか、二人はやる気満々だ。飽きて携帯やらなんやらを眺めていた夏油達を見て、「俺の部屋行くぞ」と五条が言う。

「私達も?」
「ハァ?人生ゲームなんか二人でやってどうすんだよ」
「……」

だからといって巻き込まないで欲しい、と夏油は至極当たり前のことを思った。
 

**
 

五条の部屋で始まった人生ゲームは、なんだかんだそれなりに盛り上がった。
職業選びで家入は医者という高給取りを引き当て、五条は教師になって何で俺がとかなんとかぶちぶち不満を言う。あきらは宝くじを当て、夏油は早くに双子の姉妹に恵まれたりし、四人はゲームの中で、それぞれの人生を歩んでいた。
まあいい暇つぶしにはなるな、と真面目に遊んでいた夏油の頭に、ふと、ひとつ疑問がわいた。

「そうだ」
「ん?」
「あ、五条一回休み。ザマァ」
「はっ?マジかよ」
「……そういえば、私か硝子が勝った場合はどうするんだい」
「あー」

そういえばそだねと家入が頷く。これはあくまであきらと五条の間の勝負なので、あとの二人が勝っても何の意味もないのだ。家入が大して考えずに言った。

「甘いのそんな好きじゃないし。私が勝ったらあきらの勝ちってことで」
「やったー!」
「あー、いいんじゃね。で、傑が勝ったら俺が……」
「私が勝ったら、もちろん私が貰うけど」
「あ?」
「当たり前だろ。何言ってるんだ」
「……」

突然の裏切り。
途端にバチバチと火花を散らし始めた男二人を無視して、あきらと家入は、仲良く駒を進めていた。