※学生時代 幸せ時空
「あのさあ!!!」
一週間前に北海道に行った。現場は二カ所、特に調査の必要もなく、翌日は予備日だと言われたので、とっとと終わらせて帰って休もうと思っていたのに、いざ到着してみれば二カ所というのは北海道内にあるというだけで何百キロも離れているということが発覚し、心構えが微塵もなかった長時間移動で気分が悪くなり、楽しみにしていた海鮮もろくに食べられず、結局面倒なだけの任務は日を跨いだ。
終わってやっと帰れると思ったら次は飛行機で別の東北県に出向き、また車で移動し、エトセトラ、それが終わったら隣の県、それが終わったら……と終わりのないマラソンゲームのようなそれをとりあえず走りきって、今、やっと、高専の寮である。
「ふざけんなマジで!!!」
帰ってすぐ乗り込んだ五条の部屋、スウェット姿でごろごろ漫画など読んでいた部屋の主と、同じくジャージにTシャツでのんびり過ごしていたその親友を正座させて、あきらは一喝した。一応従った二人は大人しく怒り心頭のあきらを見上げてはいるが、さっき部屋に入ったときのだらけようから考えるに、全く反省している様子がない。天元様直々にご指名を受けた任務でやらかして、二人そろって謹慎一ヶ月を申し渡され、それによってしわ寄せをこれでもかとあきら含む周囲の術師に押しつけておいて、この態度だ。この、全く反省のない、態度である。
「このバカ!!」
頭に上った血のままに三度怒鳴ると、五条が隣の夏油に、「バカっつった方がバカだっつーの。なぁ?」とかムカつく同意を求めた。ぎらりと睨みつければ視線を逸らす。
「ホント何してくれてんの?どうしてくれんの?あんたらのせいで私も先輩も一年も休みなしノンストップなんですけど?」
「今止まってんだろ」
「それは悪いと思ってるよ」
ムカつくことを言った五条の頭を近くの机に置いてあった漫画で思いっきり叩く。苦笑している夏油を睨みつけ、「じゃあなんで問題起こすわけ!?」と吠えた。
夏油と五条が顔を見合わせる。問題っつってもなあ、と面白がるように五条が言う。夏油が後を引き取った。
「あきら」
「……何?」
睨みつけても笑顔を崩さないのが夏油のうさんくさいところだ。小さい子に言い聞かせるような優しい声で、先を続ける。
「私達は、女の子を一人助けただけだよ」
「…………ハァ?」
半目になり、何かっこつけてんだコイツらという表情をありありと浮かべているあきらをよそに、五条と夏油は得意げに笑っていた。