※学生時代
くだらないことをきっかけに喧嘩を始めた五条と夏油が、教室から競うように飛び出していく。こういった展開にもすっかり慣れた硝子とあきらは、収まるまでの暇つぶしにと椅子を机に寄せて、鞄に入れていたオセロなどのんきに始めてみた。
呪術高専に入学してしばらく経った一年生の日常はこんな感じだ。
外で繰り広げられているであろう戦いやなにかが壊れる音を無視して、教室ではパチパチと静かに勝負が続く。
二人が教室に戻ってきたのは、硝子に二連続で負けたあきらがもう一回お願いします!と頭を下げた頃だった。
五条も夏油も制服はぼろぼろだし、泥だの埃だのついていて汚い。なのに表情だけは妙にすっきりとしている。
どうやら少し怪我をしたらしい夏油が医務室に行くと出て行くのをおーと言って見送る五条には、出て行く前の剣呑さがまったくない。とても建物崩壊レベルの喧嘩をした人間たちだとは思えなかった。
こいつらもしかしてただ暴れたいだけなのでは?だから毎回喧嘩の理由がくだらないのでは?
と、そんな考えがあきらの頭を過ぎる。
「あぁ?なんだよ」
「いや別に……」
どうやら顔に出ていたらしい。適当に誤魔化して視線を盤面に戻すと、ちょうど硝子が二つ目の角を取ったところで、本日三回目の負けが見えたあきらはうっと呻いた。