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オカ研に同行

心霊スポットの見回りは、まあまあの頻度で与えられる仕事の一つだ。場所にもよるが、あまりに長い期間放置しているとかでもない限り強い呪霊も湧かないので、三級になったばかりのあきらのような新米呪術師にとってはそこそこ安心できる任務でもある。
東京から仙台まで、遠路遙々やってきたあきらが意気揚々と現場の廃墟に乗り込むと、そこで予想外の出来事に遭遇した。

「お。あんたも肝試し?」

一般人がいたのだ。
後ろにぶるぶる震える男女二人をひっつけて、そこらへんを懐中電灯で照らしている少年はあきらを見て平然と声をかけてきた。彼は目を見開いたあきらに向かって、「どったの?」と首を傾げる。

「いや……えーと、あなたたち、肝試しでここに……?」

どうしようなんとか言いくるめて帰ってもらったらいいのかな。まだ経験の浅いあきらはこういう時の対応力がない。
眉尻を下げて困ったような顔をしているあきらを不思議そうに見つつ、少年が「俺虎杖っつーの。こっちはオカ研の先輩達」と自己紹介を始める。後ろの二人がやはり震えながら佐々木です井口ですと自己紹介しだしたので、こちらもつられて名を名乗る。
追い出すようなうまい口実は見つからず、また何もせず呪霊のいるかもしれないこの場所に一般人を置いて帰るわけにもいかずで、あきらは結局三人に同行することになった。

虎杖の持っている分とあきらの持っている分、二つになった懐中電灯で辺りを照らしながら進む。

三人は地元の高校のオカルト研究会の部員たちなのだという。虎杖はともかく、物音にも敏感に反応して悲鳴を上げる佐々木や井口に活動ができるのか疑問だったが、好きだから怖いんだとか雰囲気を味わいたいんだとか、変わらず後輩の背中に隠れる二人の言い訳めいた主張を聞いいてちょっと笑った。
思えば同年代の、普通の子達と話すのは久しぶりだ。なんだか嬉しい。こういう状況でなければもっとよかったのだが。

「そういえば高遠さんってどこの高校の人なの?見たことない制服だけど」
「確かに。この辺じゃないよな?」
「え。あー……」

たまにちょっと困ったりしながらも、それらしい気配の元に式神を飛ばすのは忘れない。とりあえず適当にごまかしつつ、束の間の、普通の子達との会話をあきらは楽しんでいた。