五条から電話があった。どうせ大したことじゃないだろうし万が一大したことなら他のやつからも連絡くるだろうし早く諦めないかなーとしばらく待ってみたのだが、一向に諦める様子はない。いい加減面倒になったあきらが出てみると、
『あ、あきら?オマエが学生の時に使ってたメガネあったでしょ。あのだっさいやつ。まだ持ってるなら欲しいんだけど』
「キモ。無理」
スマートフォンではガチャ切りもできないので、ぴっと小さな音を立てて電話を切る。少しも経たないうちにまたかかってきた。
何の嫌がらせかと思ったが、話を聞いてみると意外にも真面目な用件だった。どうも禪院家のお嬢さんが高専に入り、五条の受け持ちになったらしい。しかしその子には呪霊が見えないので、なんらかの呪具が必要なのだそうだ。
「なんで呪霊も見えないのに高専なんか……」
『まーそこは色々あってね。で、持ってる?』
「多分探せばあると思う」
捨てた覚えはないから、クローゼットに突っ込んである段ボールの中身を漁れば出てくるはずだ。なるはやで!と急かしてくる五条にイラっときつつ電話を切り、早速探してみればケースはあっさり見つかった。中には多少傷の付いた懐かしい丸眼鏡が収まっており、あきらは無言でそれを見つめる。
あのだっさいやつ、という五条の発言を思い出したのだ。
「ま、まあ仕方ないし……」
思春期の女子にこの丸眼鏡は確かにダサいのかもしれないが、他に持っている眼鏡はないし、ここではっきり認めてしまうとあの頃の自分がかわいそうな気もする。いやでも。この変な罪悪感は何だ。
パタッと音を立ててケースを閉じる。次があったらもっといい感じのものを渡せるように、新しいの買いに行こうかなぁとあきらは思った。