どこぞの動物園でパンダが生まれたという話を聞くたびに、パンダが小さかった頃を思い出して懐かしくなる。世話を買って出たあきらがミルクを持って部屋に入るたび「まさみちは?」と尋ねてくるような、隙あらばだっこから逃げようとするようなあまり自分に懐いてこないパンダだったが、それでもあきらは心の底から、パンダをかわいがっていた。
山ほど撮った写真は未だに宝物だ。当時まだ動画の画質が悪かったことが残念でならない。
ワシントン条約にもひっかからない、喋ってだっこしてかわいがれるパンダ。あの感動がもう一度ほしい、なんとしてもほしい。
「夜蛾先生」
「なんだ」
「もう一匹生み出しちゃいませんか、パンダ」
「……」
「突然変異とはいえ、一度あることは二度あってもおかしくないですし。それかパンダにちびパンダモードを搭載しましょう……これだ!」
一人で盛り上がっているあきらはこちらのことなど気にも留めていない。どうして自分の教え子は揃いも揃ってこうなのかと夜蛾は頭を抱えたくなった。