変な時間に寝たら、変な時間に目が覚めた。携帯を探して時間を見れば草木も眠る丑三つ時で、窓の外は当然真っ暗だ。
お腹がぐうと盛大に鳴った。
夕飯は完全に食べ逃しているので仕方ない。何か作るかーと思ったが、部屋でこの時間にがちゃがちゃ音を立てるのも気が引けたので、共用の台所へと向かう。
パンと卵とハムを見つけたので、作るものはサンドイッチで決まりだ。誰もいない静かなそこで、ひとりぼーっと卵を茹でる。
高専の夜は静かだ。敷地に対して暮らす人が少ないし、結界のおかげか呪霊の類も出てこない。
他の場所ではこうは行かないだろう。この安心感が得られるだけでも高専に通う価値はあると常々あきらは考えている。
「高菜?」
「……狗巻先輩?」
鍋を見ながらふんふん鼻歌を歌っていたら、後ろから声をかけられた。
もう寝るところなのかあきらのように起きてきたのか、ジャージを着た一つ上の先輩がこちらを見ていた。視線の先にはことことと沸騰しだした鍋がある。じいっ、と目を離さない狗巻の心中を察して、あきらは尋ねた。
「……おにぎりじゃなくてサンドイッチですけど、食べます?」
「しゃけ」
別にこだわりがあるわじゃないらしい。軽く頷いた狗巻を見て笑うと、あきらは鍋に卵を一つ追加した。