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姉妹校交流会(個人戦)/五条

※学生時代

 

京都姉妹校交流会。一日目の団体戦を終え、本日は個人戦だ。姉妹校とはいえ仲は良くないし、呪術師というものは得てしてプライドが高い。今日は個人の実力を計られる日なので、ある意味では昨日よりも白熱した勝負が、舞台となった訓練場では繰り広げられている。

一試合目が終わった。

審判役が高らかに京都校の勝利を告げている。わあっと遠くで聞こえる歓声を背に、負けたあきらがこちらへ帰ってきた。悔しそうに早足で歩くあきらは下を向いていて、表情があまり見えない。

「悟、変なことは言うなよ」

隣から小声でかけられた注意にわかってるっつのと答えて、次の試合に出るために五条はあきらの方に歩き出した。歩くだけ近づくあきらを見ながら、慰めるにしても後でだなと考える。
そしてすれ違った時。

「五条、」

不意に呼ばれて立ち止まる。肩越しに振り返ると、あきらも足を止めて、ばっと顔を上げた。
やっと見えたあきらは目に涙を溜めていて、鼻の頭も真っ赤だ。

「勝ってよね」

ずずっと鼻を啜る音とともに言うと、前に向き直ったあきらが走り出す。審判役が早くしろと喚くせいで、引き留めることも戻ることもできない。

「……誰に言ってんだか、アイツ」

口から出てきたのは文句なのに、何故か顔がにやついてしまう。足取りも軽い。どんな奴が相手だろうと、今なら全く負ける気がしなかった。