※学生時代
「じゃ、行ってきまーす」
「終わったら携帯で連絡しますね」
さっき下ろした帳の中へと消えていく五条と夏油をを見送りながら、あきらはこの空き時間に何をするかを考えた。普段の仕事であれば送り出した術師の安全を祈りつつ事態の把握に努めるが、今回に関しては前半は必要ないだろう。なんてったって二人は日本に数人しかいない特級である。
照りつける夏の日差しに目を細めつつ、こういう日に心配なのはむしろ熱中症だよな、と一人呟く。
「……お茶でも買っとくか」
コンビニを探して自分の分も含め飲み物を確保した頃、携帯が鳴った。まだ帳に入ってから三十分も経っていないのだが、どうやら仕事は終わったらしい。
慌てて戻ると車の前で五条と夏油が待っていた。
「す、すみません。こんなに早いと思わなくて」
「大丈夫ですよ」
穏やかに笑う夏油にいい子だ〜!と感動しつつ、手に持っていた袋を差し出す。「よかったらどうぞ」の「ぞ」くらいで五条が袋をごそごそとやりながら言った。
「俺甘いやつがよかったんだけど」
夏油が五条の頭を叩いた。
「いてぇ!なんだよ傑!」
「すみません、高遠さん。ありがとうございます」
同級生の抗議は無視して、夏油は申し訳なさそうにしながらこちらに向かって謝った。驚いて固まっていたあきらが、「次から気をつけます……」とひきつった笑顔を浮かべた。