あきら達にはあまり馴染みのないはずの呪術高専東京校の敷地内を、東堂がズンズンと迷いなく歩いていく。その後ろを真依と並んで着いていきながら、あきらは呆れ顔で問いかけた。
「伏黒君と釘崎さんだっけ?」
この先にいるだろう一年生の名前を確認する。「そんな名前だったわね」とこちらも見ずに真依が答えた。
あきらはこれからその二人に待ち受ける出来事を想像して一層げんなりする。伏黒恵を見極めると息巻いているのは他でもない東堂なのだから、どうやったってろくなことにはならないだろう。それに。
「……釘崎さんの方にも何かするの?」
「本人次第よ」
涼しい顔でしらばっくれるが真依の性格からしてちょっかいを出さないとは考えにくい。でも友人として真依の鬱憤をわかってもいるので、「度を越えるようなら止めに入るからね」と釘を刺すにとどめておく。フン、と鼻を鳴らすのが聞こえた。
「あんまり下の子いじめないでよ」
「本人次第って言ってるでしょう。それにこれくらいいいじゃない、どうせ今だけなんだから」
「……」
自嘲するような物言いを真依はする。
元一般人として、入学早々理由をつけて痛めつけられたこと、それでも今ではその彼女を追い越し、二級の術師となっている自分のことを思い返して、あきらは何も言えなくなった。