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心配の甲斐もない/五条

「明日は一年の実習の付き添いよろしく!」

待機室でくつろいでいるところにやってきたかと思えば、五条はいきなりそんなことを言った。
別にあきらは教師ではないただの術師なわけで、いくらこの間の百鬼夜行の後始末であらゆる人員が足りないからと言って学生の世話を強要されないといけないような立場にはない。それでも五条はまるでこれが自然の摂理かのような態度であきらを見下ろしている。頼みごとのはずなのに下手に出ているところがこれっぽっちもない。

「……」

あきらはしばらく嫌そうな顔で五条を見ると、大きく溜息を吐いて、「わかった」と静かに言った。続いて「どの子?」だの「場所は?」だの、詳細を尋ねる。
普段五条の頼みは反射で却下していくあきらにしては、反応が素直だ。五条は白い目隠しの奥で目を大きくして、「珍しいね」と言った。

「何が」
「もっと嫌がるかと思った」
「……別に」

フン、と鼻を鳴らして、あきらが視線を逸らす。顎に手を当てた五条がう〜んと理由を考えた。

「あ、もしかして」
「……」
「年下趣味だったとか?やめてよ僕の生徒に手ェ出すの」
「違う!」

なんでそうなんの!?と怒り出すあきらをアッハハと笑ってかわす五条はいつも通りだ。心配して損したと内心であきらはごちた。