ランク戦はともかくその後暇に任せてロビーでだべったのがいけなかった。ジュースを飲みながらだらだら話す内容はくだらなさすぎて、まだそれほど時間が経っていないというのに、もうほとんどが忘却の彼方にある。まさに時間の無駄だった。
同じくロビーでだべっていたうちの一人、迅と一緒に本部基地から直通通路を通って地上にでたのだが、じゃーねまた今度ーと軽く手を振って背を向けた私の首根っこを、迅が掴んだ。衝撃で息が詰まる。
「げほ、な、何!?」
「まあ待てって。もう暗いしさ、送っていくから」
「はあ? いいよ別に」
これでも鍛えているのだ。迅には及ばないが私だって下位とはいえA級の端くれであるし、ここまで上がってくるために生身でもそれなりの鍛錬を続けている。あとさすがに、生身では対処できないような危機に陥ったら、隊務規定違反だろうがなんだろうがトリガーを使わせていただく。
「その辺の変質者に負けるほど弱くない」
「……あきら、おまえ、おれより強いわけ?」
「んなわけないでしょ」
当然ながら即答である。黒トリガー持ちの、ボーダーに二人しかいないS級より強いわけがあるか。
「じゃあやっぱり送って行く」
意味のわからない理屈を振りかざした迅は、私の反論も聞かずに玉狛支部があるのとは全然違う方向に向かって歩き出した。諦めた私は一つため息をついて、その横に並んだのである。