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出水と模擬戦

ちょっとは怯めよ、と目の前で好戦的に笑う出水を見てあきらは思った。中距離攻撃を得意とするシューターのくせに、アタッカーのあきらに距離を詰められて慌てもしない。かわいげがない。
ゆったりとアーチを描く橋の上にあるのは鉄骨ばかりで、とれる策も少ないだろうに、どうしてこんなに余裕ありげなのだろう。
周りに散るトリオンの光がやけに冷静にあきらの体を狙って飛び交う。それをなんとかやりすごしたのち、間髪入れず首めがけて弧月を凪いだ。出水がシールドで危なげなく刃を受け止める。

「ちっ」
「あきらさん、舌打ち、ガラ悪っ」
「うるさい」

あいた右手にまたキューブが生まれそうなのを見て、仕方ないから勢いのまま、あきらは出水を蹴り飛ばした。
シューターだとわかっていると安心して蹴っ飛ばせるのがいい。アタッカー、特にスコーピオン使い相手だとこうはいかないのだ。下手したら足を失いかねない。
素直に蹴られながら、ガンッと一度鉄骨にぶつかって、出水はそのまま川に落ちた。あきらはふうと一息つく、が。
それが間違いだった。

カッと水面が光る。出水の沈んだあたりから、いくつもの光があがっては、あきらめがけて飛んでくる。

「げっ……」

そっか、トリオンって火薬じゃないから。
水なんて関係ない。どれだけ濡れたところで役に立つ。

「あきらさんざんねん。おれの勝ち」

水面のちょっと上、あきらの攻撃の届かないその場所には、自分で出したシールドを足場に、ずぶ濡れで笑う出水がいた。