ぽつりぽつりと至る所で咲くその花は、高いところからでもよく見える。
鮮烈な色に加え、近くで見ると、とても繊細なつくりをしていて、美しいという言葉が相応しい花だ。けれどこうしてぼやけてしまえば、途端に別の物を連想させた。
そう遠くない過去にたくさんの人の命が消えたここでは。
秋口に群を成して咲く花々は、どうも人の傷を抉る。
「きれいだね」
あきらはそれでもそう言って、瓦礫の間に咲くそれらに目を向けていた。折角の花を潰してしまわないようにと、戦い方に気をつけていたのを迅は知っていたし、それでもぐちゃりと潰されてしまった花を、気の毒そうに見ていたのも知っている。
「……きれいだけどな」
どうしても好きになれない、と迅が続けた。
あきらはそっか、とだけ返して、後は口を開かなかった。