今夜は任務もないし明日は昼からだし、ということで、いつもよりゆっくり風呂に入り、髪を乾かしてお茶を飲んで。ぽかぽか暖まった体で自室に帰ると、そこには烏丸がいた。あきらのベッドの上に寝間着で寝っ転がって、ドアの開く音に気づくと顔を上げる。げっという顔をしたあきらのことなど気にもとめず、おかえりなさいと言った。
「……京介」
「はい」
「自分の部屋で寝なさいよ」
確かに今日は支部に泊まるのだと聞いていたけれど。夕飯だって、木崎の作ったものを一緒に食べたけれど。
自分の部屋はきちんとあるのだから、そっちで寝ればいいのに。
「最近寒いので」
理由になっているのかなっていないのか、よくわからないことを、体を起こした烏丸は言う。あきらの呆れ顔に怯みもしない。あまりかわいらしさのない後輩である。
「…………」
「何もしませんから。一緒に寝ましょう」
「……ホントかな……」
「本当です」
無表情に頷く顔の横に、キラリとしたものが見えた気がした。別にそれで信用したというわけではなかったが。
あきらはため息を吐いてとことこと自分のベッドまで歩いた。烏丸が満足げに、口元だけで笑う。
ベッドにあがると、許容を越えたらしいベッドが少し軋む。大丈夫かなと不安になる。
入り込んだ布団は烏丸の体温で十分暖まっていて、これなら電気毛布はいらなさそうだ。
おさまりのいいところを見つけたと思ったら、すぐ近くで烏丸と目があった。もさもさした頭を、無言でわしわしと撫でれば猫のように目を細くする。
「……疲れてるんで、癒してください」
生憎あきらは癒し系ではないので、無理な相談だと思ったが、そのうち烏丸がすうっと目を閉じたので、まあ彼にとってはそうでもないのだろう。
本当になにもする気がないようで、よかったような残念なような。
もう一度、今度はさっきよりいくらか優しく、烏丸の頭を撫でる。
電気を消してしまえば、心地よい温もりだけがあきらを包んだ。癒しかどうかはわからないけれど、とりあえず安心はするなと、思いながら目を閉じた。