年下なのが悪いのか、それともただの性質によるところなのか、あきらは樫尾の頭をやたらぐりぐりと撫でる。
あいさつがわりにぐりぐり、ランク戦で勝ったことを聞いてはぐりぐり、そばにきたと思ったらぐりぐり。
背が縮むなんて子供じみたことを言うつもりはないが、あと数ヶ月もすれば高校生になるというのに、一人前と見なされていないことが我慢ならない。
「あきらさん!」
「うん、なになにー」
声を掛けるなり伸びてきた手を乱暴にならないように退けて、樫尾は決意を込めた眼差しであきらを見た。
あれ、とあきらが目を大きくして驚いている。
「いい加減、子供にするみたいに頭を撫でるのは、やめてくださいませんか!」
僕は小学生の子供じゃありませんし、不適切です!と大きな声で言う。
あきらはぱちぱちと瞬きしたあと、悲しそうに眉尻を下げて「そうかあ」と呟いた。予想していなかった反応に、樫尾の肩がびくっと跳ねる。
「そっか……、ずっと嫌だったんだね、ごめんね」
「え、えっと」
「もうやめるからね。そんな嫌な思いさせてたなんて思わなくて、鈍くてごめんね」
「あ、あの、あきらさん」
しょぼんと肩を落として、暗い雰囲気を漂わせるあきらに、罪悪感がどんどん募る。
考えてみれば、あきらはなにも嫌がらせのつもりでやっていたわけではない。好意の上でのことだというのは、樫尾だって十分わかっているのだ。
「ごめんね……」
寂しそうにあきらが言ったとき、とうとう耐えきれずに樫尾は叫んだ。
「…………冗談です!」
「えっ」
「別に嫌だと思っているわけではありません!ど、どうぞ、今まで通りに、してください……」
「…………」
あきらはまた少しだけ間をおいて、今度はにこっと笑った。「なんだあ~!!」と心底嬉しそうな顔をして樫尾の頭に手を伸ばしてくる。
ぐりぐり、といつもより力強く撫でてくる手の感触を感じながら、樫尾はほっと息を吐いた。