細井真織ちゃんという子と、研修が一緒になった。彼女は遠い関西からスカウトされてこちらにきたのだそうで、すごいね期待の星だねと言ったのだが、彼女は「あんまり嬉しくないけどな」と聞き慣れない発音で、困ったようにはにかんだ。
「どうして?」
「だって、わざわざ来たけど、ほんまにオペできんのかはまだわからんやん」
役立たんかったらどうしよ、と眉間に皺を寄せる彼女はとても真面目な女の子で、私はすぐに彼女が大好きになった。
それで呼び方を改めることにしたのだが、真織ちゃん、と呼ぶと真織ちゃんは困ったような顔をする。
「……そんなにいや?」
「いやっていうか」
なんかかわいい名前やからと真織ちゃんが言いづらそうに言った。私は驚く。
「あのね、私、真織ちゃんの名前は真織ちゃんにぴったりだと思うよ」
「……やめてや……」
「真織ちゃんがかわいいから、ぴったりだと思うんだよ」
「……」
真織ちゃんが頬を赤くして、恥ずかしがっているような怒ったような顔をした。
やりとりを見ていたらしい真織ちゃんのチームメイトが、「女子やときもいとかいわへんねんなぁ」なんて感心したように言う。きもいとか、言われたらそれはそれで、楽しいのになぁ。