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国近の誕生日/男主

何がほしい、と聞いたらケーキが食べたいなあと言われたので、駅前のケーキ屋に出かけ国近が欲しがりそうな、生クリームとフルーツのたくさん乗ったケーキをいくつか買った。一人で食べきれないというので俺もご相伴にあずかることとなり、ああ自分で食べるんならもっとクリーム少ないの買っときゃよかった、と後悔しつつ口に入れる。

「智くんの誕生日も、もうすぐだねえ」

にこにこと国近は口元にクリームをくっつけながら言った。そうである。遅生まれの国近より俺はもう少し遅く生まれた。だがそれがどうしたって話だ。

「18んなったってなんにも変わらねーよ。酒が飲めるわけでもない」
「えー、変わるよ」

なにがだよ、と目を向ける。にこーっととろけるような微笑みを国近は浮かべてみせる。

「もうすぐ結婚できるよ。男の子は18歳からだから」
「は」

それこそ関係なくないか。こんな若い身空で誰と結婚しろと。
相手がいねーよ、と言い掛けたが目の前の国近があまりにも幸せそうに笑っているので言いそびれた。……なにかえらいことが起こる気がする。今までの十何年間で培った対国近の勘がそう叫んでいる。
生クリームだらけのスプーンを口に運んだ。めちゃくちゃに、甘い。