風刃を起動できた。
どうやら最上さんは、迅や風間さんを選ぶついでに、俺のことも選んでおいてくれたらしい。
なにしてくれてんだ、というのが正直な感想である。
「なあ、迅」
「なに」
訓練室にいたところを迅に見つかり、腕をつかまれて引っ張り出されている。迅は俺の手首をがっしり握ったまま早足で前を歩いていた。名前を呼んでもこっちを向きもしない。
「……俺、俺さあ、スナイパーなんだけど」
「知ってるよ」
「争奪戦なんて出れねーよ」
もうすぐ、あと数分で、風刃の所有者を決めるための争奪戦が始まる。迅はそれに間に合うように、歩いているのだった。辞退しますと上に伝えたはずの俺を連れて。
迅がちらりと俺を睨む。なかなか向けられたことがない目だった。
なんだよどうせ太刀川さんもいないんだし、他の候補者にお前に勝てるような人間もいない。風刃の主人は決まったも同然だろう。イーグレットしか使えない俺が出る意味なんてあるかよ。
俺の不満を察した迅が、気持ちを落ち着けるように、まず大きく息を吐いた。
「……争奪戦には、候補者全員に参加してもらう」
ぴりぴりした声で続ける。
「全員倒して、おれが風刃を持つ。みんなにそう認めてもらう」
迅の歩くスピードが上がった。俺は慌てて小走りになる。
その頑なな背中を見ていたらため息が出る。まったくあの人も厄介なことをしてくれた。迅の言うみんなの中には、最上さんも入ってるんだろうなと、そんなことを思った。