Skip to content

呪術→吸死/変なとこに来た

※細かいことは気にしないでください

 

呪霊の生得領域から出たと思ったら、微妙に世界がズレていた。近くに止めた車中で待機していた補助監督の姿は見つからず、つい数時間前に見た建物がなぜか公園になっている。自力で東京に戻ってから違和感は更に増えた。都市にある有名なものや地形なんかは同じなのだが、自宅のある街に行っても風景が違うのだ。知る家はなく、知り合いだって一人もいない。高専があるはずの山には建物の一つもなかったし、なにより少し探せば見つかるはずの呪霊の姿さえどこにもなかった。
かわりに当たり前のように世界にいるのは吸血鬼というやつだ。
下等吸血鬼なんて呪霊じみたものから、物語に出てきそうな吸血鬼まで、みんな社会に溶け込んで暮らしていて、なんと警察にそれ専門の部署まである。
民間でも退治人なんてものがあって、おかげでというかなんというか、腕に覚えのあるあきらは成り行きでその職についた。化け物の相手なら慣れたものだ。淡々と、そして着々と地域の下等吸血鬼の数を減らし、減ったら別の街に移るというようなことを繰り返して、流れ着いたのが新横浜である。

どうも吸血鬼は都会よりもちょっと寂れた街に多く集まるらしい。
下等吸血鬼は日々わいてくるし、九十九吸血鬼などというよそではちょっと見ないような珍しいものもいる。あと股間に花を咲かせるような変わった吸血鬼たちも。

「平和ですねえ」

今宵も集まって騒ぎ回っている吸血鬼たちと、それに対抗する退治人仲間たちを眺めながら呟く。カウンターの向こうのマスターがそうですねぇと微笑む。となりにいたヴァモネが『あれが?』と書かれた看板を出した。

 

ひとこと
もともと混合夢から書き始めたタイプなので今でも時々魔が差します。