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吸死/心配するミカヅキ

新横浜はおかしな街だ。東京ではあり得ないような密度・頻度で、下等から高等まで、あらゆる吸血鬼たちが日々騒動を起こす。
ちょっと足を踏み入れただけで酷い目に遭うこと数回のミカヅキは、ここを拠点にしているあきらのことを考えるとついそわそわしてしまう。野球拳の餌食になってはいないか、公衆の面前でビキニを着ることになってはいないか。変な吸血鬼に変な理由で襲われてはいないか、などなど……

「ダイジョーブ、ダイジョーブ」

心配をそのままぶつけてみたら、あきらはアハハと愉快そうに笑った。

「でも……」
「なんとかなってるよ。ちょっと危ない時はあるけど、まあ、男連中が庇ってくれたりするし」

ミカヅキの気も知らず、あきらは自慢するような口調で、ああいうとこかっこいいよね、とにこにこしながら自分の同僚たちを褒める。
無事ならもちろんいいんだけれど。それはそれで、気に入らないというかなんというか。