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スカートの話/虎杖

珍しく虎杖の機嫌が悪い。せっかくあきらが部屋に来てみたのに、つーんと口を尖らせて、体育座りをしている。
なんだかカワイイのだが、こっちを見もしないのだけ、ちょっと気に入らなかった。

「そんなに嫌?」
「……」

原因はわかっている。新しい制服が出来上がってきたから、たぶんそのことだろう。
もうすぐ夏だし暑いし、と思ってスカートの丈を思い切って短くしてもらったのだ。さっき寮の談話室で顔を合わせた時、あからさまに視線が足の方にいって、機嫌が悪くなったのはそれからだった。

「意外だな~」

あきらが暢気に言うと、不機嫌な声が「何が」と返した。あきらはふふんと笑う。

「てっきり喜ぶかと思ったのに」

スカートとか、脚とか好きじゃん、と続けると、むっとした表情の虎杖があきらを見た。

「好きだけどさあ!」
「でしょ」
「でもさあ……」
「なのに嫌なの」
「…………制服だと他のみんなも見るでしょ」

ぶすくれて恥ずかしそうに目を逸らす。

「俺は他のやつに見せたくないの!」

きゅうん、と胸に痛みが走り、あきらは思わずうぐっと呻いた。胸を押さえる。
えっどうしたのと苛立ちを忘れた虎杖が慌ててこちらを振り向いたので、そのままその場に崩れ落ちてやった。