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ちょろい五条

※学生時代
※たぶん付き合いたてとかそんなん

 

五条は術式について解説することに躊躇がない。知ったところでどうにもできるものではないというのも大きいが、結局は説明して感心されるのが好きなのだ。
だから教室でアキレスと亀だのなんだの説明を受けていたあきらがなんかよくわかんないね、と困った顔で言うと、にっと嬉しそうに笑った。

「手ェ出せよ、あきら」
「ん?はい」

五条が翳した手に合わせるように、あきらが手のひらを近づけた。そのまま合わさるかと思いきや、途中でぴたっと止まったせいで、ん?と首を傾げる。

「これが無限」

止まっているというよりは、二点間の距離を無限に分割しているというのが正しい。止まって見えるほど遅い、とただそれだけだ。
どうだ、と言わんばかりの表情であきらを見ると、へ〜、と呟いて、何故か眉尻を下げている。予想とは少し違う反応だった。

「何、どーした」
「いや……これ」

戸惑ったような顔のあきらが口を噤む。そして少し言葉を溜めると、五条から目を逸らして照れくさそうに口を開いた。

「……ちょっと寂しい」
「…………」

五条の動きが一瞬止まる。次の瞬間、すっと間にあった空間がなくなり、あきらの手のひらが五条のそれと合わさった。わ、と表情を明るくするあきらの手を五条がぎゅっと握りしめる。
 

「何が無限だよって感じ」
「最強返上した方がいいんじゃないか」

見ていたらしい同級生二人がこそこそと言い合う。顔を赤くした五条が、「うるせーよ!」と怒鳴りつけた。