※ごく普通に夏油が離反してない
※五条もしかしてファッションセンスがやばいのか?という話です
久しぶりに五条と休みが合った。
特級術師かつ高専教師をしている五条と、一級術師として働くあきらは毎日を忙しく過ごしているから、こんなことは滅多にない。
五条が「出かけよっか」と言い出して、あきらは「うん」と頷いた。
せっかくだからこの間買ったばかりの服など着ていきたいが、気合を入れていると思われるのもちょっと気恥ずかしくて嫌だ。いやでも。いやいやでも、と待ち合わせの一時間前までやっていたクローゼットとの睨めっこをなんとか終わらせ、化粧をして家を出た。適当に決めた待ち合わせ場所へ向かう。
あともう少しで自宅からの最寄り駅に着くという時、新着のメッセージがあった。
『ちょっと遅れる』
あきらは首を傾げ、どうかした?と送る。すぐに返事があった。
『着替えていく』
着替えていく?
何かあって汚れたりしたのだろうか。よくわからないながらわかったと送って、あきらは携帯をポケットにしまう。
ちょうど電車が来たようだ。幸い高専のある山奥と違って都会だから、暇つぶしの方法は山ほどある。とりあえず向こうに行って、その辺でお茶でもして待っていよう、と決めた。
**
五条は元々の時間から三十分ほど遅れてやってきた。教えておいた喫茶店に入ってくると、こちらに気付いてひらっと片手を上げる。
そういえば久々に私服姿を見た。サングラスにシャツ、黒のズボン、コートと地味すぎるくらいのごく普通の格好だが、体格と顔面のせいでよく目立っている。
私服というよりなんだか高専に通っていた頃と雰囲気が近い。「あきら」と呼ぶ、その声が少し拗ねた響きだったから尚更だ。見るからに不機嫌そうな五条にあきらは瞬きをした。
「なんかあったの?」
「…………傑が」
「夏油が?」
夏油も高専に戻ってきているなんて、今日はつくづく珍しい日だと思いながら先を待つ。眉を寄せ、半目になって口を尖らせる五条が続けた。
「……その格好はやめておきなって」
「…………」
一体どんな格好をしていたのだろう。
少し好奇心が疼いたが、知らないままでいた方がいいような気もする。夏油に感謝をするべきだということだけ理解して、あきらは神妙な顔でそっか、と言った。