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五条と新幹線に乗る

※学生時代

 

新幹線に乗り込み予約していた席に着くなり、五条は当たり前のように窓際の席にドサっと座った。可愛い後輩に景色のいい方を譲ってやろうとか、そんな優しさは皆無である。

「……はーあ」
「んだよ」
「なんでもないです」

まあわかっていたことではあったので、わざとらしくため息を吐くに留め、あきらは五条の隣にすとんと座った。
目的地までの二時間強の暇潰しのため、持参したiPodを鞄から取り出す。イヤホンをつけて目当ての曲を探していると、肩を指で叩かれた。

「……なんですか?」
「俺も聞く」
「…………」

言い出したら聞かない先輩なので、反論もめんどくさくて、あきらは無言で右側のイヤホンを取った。差し出された手の上にポイッと置き、曲探しを再開する。コードが短いせいでやたらと距離の近い先輩が、あきらの手元を覗き込んできた。

「ポルノとか入ってねーの?」

人のものを貸してもらっておきながら選曲にまで口を出してくるなんて、どれだけ図々しいんだろう。ここから二時間これかぁとあきらが遠い目をしているうちに、新幹線はゆっくりと動き始めた。

 

ひとこと
五条ポルノ好きそ〜という捏造です。
iPodとかMDプレイヤーとか懐かしいですね。